⑰(上)雪田の雪がとけるといち早く咲く花のひとつがショウジョウバカマだ。 |
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⑭(左上)タカネザクラは山頂駅から剣ヶ池に行く途中にある。 |
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速 報
2012年7月9日の木曽駒ヶ岳の花
⑥ 夏は強風が、冬になれば激しい風雪が襲う稜線では、背の低い植物が身を寄せ合うようにして生活している。白い花はヒメウスユキソウ、赤い花はミヤマシオガマ、左手前の黄色と白の花はチョウノスケソウ。左上の白っぽい葉はハハコヨモギ、右上の細い葉はトウヤクリンドウ。
木曽駒ヶ岳(2,956m)には、ここにしか生えない植物が何種類かある。
ヒメウスユキソウ(別名、コマウスユキソウ)はそのひとつである。エーデルワイスの仲間の植物で、高さ3〜6cmと仲間のなかでは最も小さい。環境省の絶滅危惧種に指定されているが、ここではたくさん見ることができる。
ハハコヨモギもまた、このあたりと南アルプス・北岳の一部にしか生えない植物で、これも絶滅危惧種に指定されている。これも、ここでは、そこかしこの道の脇に見ることができる。
ヒメウスユキソウもハハコヨモギも、強風や乾燥など、条件の厳しい稜線上に生える植物である。もっぱら稜線や岩場に生えるものには、ほかに、草ではタカネツメクサ、イワツメクサ、ミヤマキンバイ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマシオガマ、チシマギキョウ、コマクサ、トウヤクリンドウ、クモマスミレ、タカネニガナ、オヤマノエンドウなど、木(といっても丈は低く、草のようにしか見えないものが多い)ではチョウノスケソウ、イワウメ、イワヒゲ、コケモモ、ツガザクラ、コメバツガザクラ、ミネズオウ、ヒメクロマメノキ、キバナシャクナゲ、ハクサンシャクナゲなどが代表的なものだ。これらのほとんどを、今、見ることができる。
一方、もっぱら斜面の草地に生える植物もある。シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ウサギギク、キバナノコマノツメ、クロユリなどなど、数えあげればきりがない。例年なら今ごろ見ごろを迎えているこれらの植物の多くは、今年は雪解けが遅いためにやや遅れている。ただ、早く雪が解けたところを注意深く探せば、こうしたものも見られる可能性はある。
⑦(左)ここのほかには北岳と仙丈ヶ岳でしか見られないハハコヨモギだが、ここにはかなりたくさんある。右下は花が終わったイワウメ、右奥の黄色い花はミヤマキンバイ。
⑧(下)イワウメ。低く、マット状にひろがるが、これでも木である。
⑬ シナノキンバイ。もっぱら草地に咲く植物は、まだ花をつけているものは少ない。これは雪解けがとくに早いロープウェイ山頂駅近くの草地で見つけたもの。
2012年7月の花で、順次紹介していきます。